CASIO PB-1000 FOREVER!プラスワン

USBシリアル変換(FT232RL利用)ケーブルの作成
(VX-3/VX-4/FX870P/FX890P/Z-1/Z-1GR)用


 FX-870Pをはじめとする3pin入出力端子を持つ、
CASIO製ポケコン用のPC通信ケーブルです。
USB接続であるため、RS232C(COM)端子を持たない
最新のノートPCでも利用できるだけでなく、
秋月電子通商から市販されているキットの利用により
以前発表した通信ケーブルより
はるかに容易に制作ができます。

注意
このPC通信ケーブルは、カシオ計算機(株)
が周辺機器として動作保証したものではありません。
利用環境によっては正常に動作しないだけではなく、
制作に失敗した場合など、ポケコン側を
壊してしまう可能性も考えられます。
実際に制作・使用を行う際は、自己責任でお願いします。

1.USBシリアル変換IC(FTDI社FT232RL)について
USBシリアル変換チップ「FT232RL」
 USBシリアル変換チップは各社から発売されていますが、
このFT232RLと言うICはFTDI社でも第3世代と位置づけられており、
従来のUSBシリアル変換ICに必要だった外部EEPROMやクロックなどの
ほとんどの部品をチップに内蔵しているのが特徴です。

このため、ユーザーが利用する場合に、
FT232RL周辺にコンデンサをいくつか追加する程度で
USBシリアル変換回路として動作させることができます。

FT232RLピンレイアウト
FT232RLピンレイアウト

2.ポケコン・PC通信ケーブルの制作

 今回、この便利なチップを使って、カシオポケコンとPC間の通信ケーブルを作成してみました。
最近のPCは、COMポートを持たない物も多くなってきており、
このUSB接続の通信ケーブルが活躍する場面も多いことでしょう。

(1) 部品について
 制作にあたって必要なパーツは下記の通りです。
ほとんどのパーツが通信販売で入手可能です。
(1500円程度でしょうか)

番号 名称 数量
1 「L型2.5φステレオプラグ付きケーブル」 共立エレショップ: 註646313 1
2 「USBシリアル変換モジュールIC FT232RL」 秋月電子通商: I-01739 1
3 「チップ積層セラミックコンデンサ 0.1μF」 秋月電子通商: P-00349 1
4 「積層セラミックコンデンサ 4.7μF」 秋月電子通商: P-02183
(実際には同容量のチップコンデンサを利用しました)
1
5 「USB A型コネクタ(ハウジング付き)」 共立エレショップ店頭で165円でした
1
部品一覧

(2) 回路について
基本的には、FDTI社の公開しているデータシート
「6.1 USB BUS Powerd Configuration」にある
回路図を参考にしています。


ポケコンとの通信にはFT232RLのピンの内、
TXD、RXD、GNDのみを利用します。
データシートの回路では
電源まわりに4.7μFと0.1μFのコンデンサを並列に入れているのですが、
制作時には0.1μFの方を省略して4.7μFもチップコンデンサで
代用しています。
(結果としてノイズ対策を省略していますが、
あまり高速では通信しないので問題はないかと思います)

後は、3V3OUTとGND間に0.1μFのコンデンサを入れ、
USBコネクタとステレオ3pin端子を繋いでいます。

以下が実際に組んでみた画像です。
USBシリアル変換ケーブル配線図

制作画像1
画像では判りにくいのですが、FT232RLの接続不要なPinは全てピンセットで折ってしまっています。
利用するPinのみ丁寧に伸ばして、ICを裏返しにしてジャンパや部品を直接ハンダ付けしています。

SSOPパッケージ相手のかなり細かいハンダ付けが必要だったため、作業は困難を極めましたが、
何とかUSBハウジングに納める事が出来ました。(歳のせいか目が・・ orz)
制作画像2


3.Windows用デバイスドライバのインストール

 完成後は、Windows用のデバイスドライバがFTDI社のホームページに用意されていますので、ダウンロードしてください。
インストールした際の手順を別ページにまとめましたので参考にして下さい。
「FT232RLドライバのインストール手順(WindowsXP編)」


4.ポケコンとの通信設定について
 デバイスドライバのインストールが完了したら、
新設されたCOMポートに対して、
ポケコンと通信ソフトの
両方で同じ通信設定にします。

注意する点として、
USBシリアル変換ケーブルによる通信時は
ソフトウェアフロー制御(Xon/Xoff)が
上手く効かないようで、
設定しても通信エラーとなってしまいます。

そのため、右図「 PB-1000 Data Communicator32」
の設定のように
ボーレートを遅め(2400BPS程度)に設定してやるか、
左図 「Tera Term」の設定のように、
1行送信毎に適当な遅延時間(200〜300ms)を
挿入するなど
工夫する必要があります。

5.市販キット利用による通信ケーブルの制作

 以上、FT232RL利用の通信ケーブル制作について述べましたが、SSOPパッケージの工作には
高度なハンダ付けが必要で、誰でも気軽に制作できるかと言われると微妙な所です。

そこで市販のキットを使うことで、もっと簡単に制作できないか試してみました。

秋月電子通商にて販売されている USBシリアル変換モジュール は、FT232RLを制御する為に
必要な全てのパーツが乗って950円(税込)と、優れたコストパフォーマンスであるだけでなく、
2.5φステレオプラグ付きケーブルと3箇所接続するだけで、CASIOポケコン用のPC通信ケーブル
として動作可能と言う、非常に手軽な工作で済む点でも魅力的な製品です。

このモジュールを使ったポケコン通信ケーブルは、既に色々なサイトで紹介されており、
新たに語ることも少ないかと思いますが、やはり「PB-1000 Forever!」と言う事で(意味不明?)、
遅ればせながらも紹介させて頂きます。
(1)部品について
 制作にあたって必要なパーツは下記の3点です。

このうち、3番目のUSBケーブル(A-ミニB)については、
各社のUSB機器に付属する場合も
多いと思われますので、
手元にない場合のみ入手すれば良いでしょう。

パーツは全部合わせても2000円以下で入手可能と思います。
後はハンダごてとハンダが少々あればOKです。


番号 名称 数量
1 「L型2.5φステレオプラグ付きケーブル」 共立エレショップ: 註646313 1
2 「USBシリアル変換モジュール」 秋月電子通商: K-01977 1
3 「USBケーブル(A-ミニB)」 秋月電子通商: C-02016 1

(2) 配線図
配線図を下記に示します。
配線は3箇所(TXD、RXD、GND)のみ
と非常にシンプルです。


(3) 制作例
実際に制作した例です。
USBシリアル変換モジュールに
2.5φステレオプラグ付きケーブルを
3箇所(TXD、RXD、GND)ハンダ付けして完成です。

(4) デバイスドライバのインストール及び、通信設定について

 Windows用デバイスドライバのインストール手順や及び、通信ソフトの設定は、前述の方法と同一です。
3章、4章を参考にして下さい。


2009-03-02@あお

ハードウェア・記事作成 あお氏
ご寄稿誠にありがとうございました。

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