CASIOポケコンVX-4の増設スロットに 直接SRAMを半田付けする手順を解説します。
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1.はじめに |
以前発表したVX-4のメモリー増設 ではフレキから起こしましたが、
フレキの製作は一般的ではありませんし、押さえ金具を作るのも容易ではありません。
また、記事のあとがきで増設スロットにS-RAMを直接
半田付けした方が簡単と書きましたが、実のところ実際に自分で試した実績はありませんでした。
今回、ちょうど未増設のVX-4があったので、
増設スロットに32KバイトS-RAM 62256を直接半田付けする改造をしてみました。
2.S-RAM配置と配線 |
改造に対して必要な部品(パーツ)については、
以前発表した記事 を参考にして下さい。
増設スロットへのSRAM(62256)の配置ですが、上下を間違えないように裏返して固定しました。
(配線図を参考) これはフレキでの配線と同じで、S-RAMは裏返しにすると、配線の交差が少ない
素直な配線になり、またS-RAMの足も上に向くので半田付けもしやすく、絶縁シートに対する
熱保護にもなります。
S-RAMはある程度増設端子から離した方が配線し易いと思います。
3.配線図 |
実体配線図です。
フレキを作った時のJWWデーターを修正しただけの図なので、少々見難いですが、
CAD上で増設スロット各端子からS-RAMのPinまでの線の長さを求めて併記して
おきましたので、ジュンフロン線切断時の参考にして下さい。
4.はんだ付け作業 |
(1)作業手順 あらかじめプログラムはセーブしておき、 安全のため動作電池とバックアップ電池は外します。 配線はジュンフロン線AWG#30(0.26)で配線しました。 端子やRAMの足は予備半田しておき ジュンフロン線はあらかじめ長さを決めて 両端を1.5mmほど剥いて予備半田します。 予備半田すると被覆が縮みますので短めに剥いておきます。 先に増設端子側に半田付けし、 目的のRAMの足に触れるようにルートを決めてピンセットで フォーミングします。足とズレないように指で軽く固定し、 コテは線に当てるだけで足に半田付けします。 RAMの足は折れ易いので配線でストレスを掛けないようにします。 先に増設端子の右側から進めます。 殆どはRAMの右側の足に配線です。 後からRAMの左の足に半田付けが出来るように 左の足の間に線を通します。続いて増設端子の左側の配線をします。 RAMの左の足に半田付けする時は、 先に足の間に通した線に注意しながら半田付けします。 ジュンフロン線の被覆はテフロンらしく、 触れている程度で多少の熱なら大丈夫なようです。 順番はこだわりませんが、 後からの半田付けも考慮しながら配線します。 線の長さが合わないようでしたら 増設端子側は余裕があるので 半田を溶かせば線を多少移動できます。 |
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(2)作業時のコツなど
1.27mmピッチでは糸半田で普通に半田付けすると隣とブリッジするし、コテと糸半田とズレ
止めで手が3本必要になります。半田量が不足の場合は、コテ先を湿った海綿で温度を下げ
ながらクリーニングし、適量の半田をコテに載せて半田を盛るようにします。
コテに長く載った半田は熱で酸化しますので、艶の無くなった半田はクリーニングして除去します。
(3)各部のはんだ状態
20倍の実態顕微鏡に手持ちのコンパクトデジカメで汚い半田付け状態を画像にしました。
増設端子部とRAMの右と左の足の一部分です。ご参考まで。
増設スロット部 |
S-RAM右側 |
S-RAM左側 |
5.動作確認 |
全ての配線が終了したら必ずチェックします。 実体配線図に赤ペンでチェックを入れて確認しましょう。 全て正常なら電池を入れてリセットします。 写真右の様に「8KB+32KB」と表示されたら完成です。 |
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6.道具など |
RAM増設に使った道具です。半田吸い取り線は今回使いませんでしたが有ると便利です。
画像にはありませんがフラックスとフラックスクリーナも有ると便利です。
フラックス入りの糸半田は0.6mmを使っています。
ワイヤーストリッパーはAWG#30対応のが必須と思います。無いと剥くのが大変です。
これも画像には有りませんが、私(山爺)はヘッドルーペを使っています。
7.最後に |
内部RAMを剥がすよりはリスクが少ないと思いますが、半田付けに自信のない方には
難しいかも知れません。この増設のまま、将来内部RAMの6264を62256に貼り替えて
ジャンパーを変更すると合計64Kバイトになります。 こちらの改造記事 を参照下さい。
将来内部RAMを剥がして128KバイトRAMを増設する場合はこの増設を取り外しますが
増設端子の半田を外すだけなので簡単と思います。
62256は持っていないが、628128をお持ちなら容量の3/4が無駄になりますが同じように
使えると思います。A15、A16、CS2は近くの5V(VCC)に接続して他は62256と同じです。
RAMの18000h〜1FFFFhの32kバイトだけを使います。配線長記載はありませんが628128
の場合の実体配線図も作りました。配線長は62256のを参考にして下さい。
628128利用時の配線図 |
2009-09-02 @山爺
ハードウェア・記事作成 山爺氏
ソフトウェア・記事作成 あお氏
ご寄稿誠にありがとうございました。