VX-3の内蔵メモリを128KBに!


1.はじめに

VX-3の内蔵RAMを128KBに換装することにより、BANK1側にRAMをフル実装し、
同時にBANK2側への拡張も行います。

CASIOポケコンVX-3の内蔵メモリを128KB化します。
注意:この改造を行うと、メーカー保証は受けられなくなります。
またポケコンを壊してしまう場合もありますので、実施は自己責任でお願いします。


2.メモリ増設の概要

メモリ増設の概要はVX-4と同じです。詳しくは下記の記事を参考にして下さい。
FX-870P/VX-4の内蔵メモリを128KBに!

幸いなことに、VX-3ではBANK2側ROMの最終アドレスが&H3FEBとなっています。
そこで下図のようなデコードを行えば、BANK1の0000-FFFFhの64KBと、BANK2の
4000-FFFFhの48KBの、合計112KBのRAM実装が可能となります。

回路図


以下に実際の配線図を示します。

配線図



3.準備するもの

本改造に必要な道具と材料です。
128KBのS-RAMは秋月電子通商のSTマイクロ製のものが安価でお勧めです。

番号 名称 数量 入手先
1 半田ごて(15W程度) 1
2 テスター 1
3 1Mbit S-RAM(HM628128-LFP相当品) 1 秋月電子通商:I-01083
4 74HC21 4入力AND 2回路 1 マルツパーツ:TC74HC21AP
5 74HC139 2-4デコーダ 2回路 1 マルツパーツ:TC74HC139AP
6 ポリウレタン線(0.2mmφ) 1 マルツパーツ:UEW0.2L20
7 半田(0.8mm以下の物) 適当


4.内蔵メモリ換装方法

本体の分解方法はVX-4の場合と同じです。下記の記事を参考にして下さい。
VX-4 内蔵メモリを32KB(FX-870P相当)に!

8KBの内蔵RAMはCPU側の基板の裏側に取り付けられているので、上記記事にある
手順でこの基板を引き出し、パターンが剥がれないよう慎重に内蔵RAMを除去します。
次にPAD3,PAD5上の半田を除去し、PAD4を半田ブリッジでショートさせて下さい。

基板1


続いて128KBのRAMを実装します。パターン面に半田付けしないピンはあらかじめ
まっすぐに伸ばしておいて下さい。基板側のパターンに対してRAMの幅が広いので、
ピンを内側に押し込んでおくと、半田付けが楽になります。
次にシステムROMのCS端子を基板から浮かせます。その後、ロジックICを拡張
コネクタ領域に両面テープで固定し、配線図通りにジャンパ線をつないで下さい。

基板


以上の作業が完了したら、分解の時と逆の手順で組み立て直します。
0.2mmφのポリウレタン線を使って配線するとケースにほとんど干渉しないので、
未加工で拡張コネクタ領域への配線の引き出しが可能となります。

組立



5.動作確認

電源投入後にALL RESETを実施し、8KB + 32KBと表示されればひとまず成功です。
電源が入らなかったり、RAMが認識されない場合は再度配線を確認して下さい。

次にTESTモードでRAMのチェックを行います。DEFCHR$(252)="56605437008C"と
した後、MODE110(&H6643)を実行するとTESTモードに入れるので、"4:RAM"を
実行して問題無いことを確認します。
実行後はRAMの内容が破壊されるので、再度ALL RESETを実施して下さい。

テストモード


10000-15FFFhおよび24000-2FFFFhは、TESTモードではチェックできないので、
準備したチェック用プログラムを使用します。
圧縮ファイル中の"check.b"をP0〜P9のいずれかに転送して、RUN起動すると、
チェックを開始します。RAMの読み書きが正常なら"OK"が表示されて終了します。
書き込み値と読み込み値が異なる場合は"RW error"が表示されるので、RAMの
半田付けや配線、PADのオープン・ショートを再度確認して下さい。

RAMチェック



6.VX-3用BANK2常駐型VX-MENU

今回RAM増設を行った領域のうち、10000-15FFFhおよび24000-2FFFFhはシステム
から無視されています。そこで、この領域をファイル格納エリアとして活用するために、
BANK2常駐型のVX-MENUの使用をお勧めします。
VX-MENUの導入方法や使い方の詳細については HD61700 SPIRITSを参照下さい。

拡張VX-MENU


2010-11-6@Miyura

記事は、Miyura氏よりご寄稿して頂きました。ご協力誠にありがとうございました。

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