ホットライダーの本体

ホットライダー(HOT RIDER)

増田屋コーポレーション/ラジオ・プレイ&タイムシリーズ/1983年
(C)1983 MASUDAYA CORPORATION

ゲーム性 ★★★ ゲームは面白いが、既存ゲームの流用と言う事で減点。古くささも・・。
操作性 ★★★ 特に問題なし。
キャラクタ(画面) ★★★★ 増田屋のキャラクタは非常に可愛くて魅力的だ!
サウンド ★★ 音程が無いサウンド・・。この時代にしては地味か?
ハード ★★★ 従来のG&W志向では無い子供向けのデザイン。少々安っぽいかも。
操作性 ☆☆☆☆ ラジオを聴きながらのプレイは新鮮!持っていて損無しの機種!

■ゲーム解説:ゲームをしながら、歌やニュースをキャッチ!(パッケージより)

これはひょっとして
新感覚?!
あんまり見ないでネ(ポッ)
 近年の情報機器の発達には目を見張るものがあります。新たな記憶メディアの登場や機器の小型化など
10年前には予想出来なかった程の進化ぶりです。別コーナーで取り上げた「Wrist Audio Player(カシオ計算機)」や
音楽の聴ける携帯電話の登場などもその現れでしょう。スゴイ世の中になったものです。
ここで注目してほしいのは、これらは腕時計や携帯電話で音楽が聴けるという商品ですが、
それぞれの機能を独立して考えれば他愛も無いものかもしれません。
しかし、これらが組み合わさる事で新たな商品価値を生み出しているという点です。
最近登場したレシピ情報がダウンロード出来るオーブンレンジなんかもそうです。
普通の携帯電話や音楽プレイヤー、腕時計の方が使い勝手が良いに決まってます。
パソコンに接続してせっせと曲データを出し入れしたり、高価なメモリースティックを何本か購入してまで
「腕時計や携帯電話で音楽を聴く」という行為の意味は「サイバー(and先進的)」に他なりません。(笑)
時代が可能にしたこういう技術を「オレは最先端を行ってるゼ〜!ワオ!」的な意味で噛みしめているのです。
この考えは私だけかもしれませんが、良い言い方をすると「未来を見つめている」のです(悪く言うと「自慢したがり屋」^^;)。
私は複合機能製品が大好きな理由はそこなんです。
 電子ゲームでも後期になると、数々の趣向を凝らしたものが登場するようになりました。
三面スクリーン使用(※1)や三角柱本体(※2)など、さらにゲームに特化して形状を進化させたものも出てきましたが、
バンダイ「エッチな小人」の様にスピードメーター等の電子キットにも使える実用的な要素も兼ね備えた
電子ゲームも幾つか発売されました。ここに紹介する「ホットライダー」もその1つです。
この機種ではゲームの他に「AMラジオ」機能が備わっているのです(※3)。
(※1=ガンダム三大決戦(バンダイ)/※2=ドラえもんおもしろさんかくタイムマシン(ポピー))
(※3=後から気が付いたんですが、「エッチな小人」にもAMラジオは付いていました。^^;)
一見するとまったく関係の無いこれらの機能・・・、しかし「ラジオを聴きながらゲームプレイをする」と言う行為・・。
なんだか新鮮に感じませんか?(笑)
『電車の中で「あの人は何をやっているんだろう。ゲーム音をイヤホンで聴きながらプレイしているのかな?」
・・だが私は言いたい!「AMラジオを聴きながらゲームをプレイしているんだ!」』
と勝手なドラマを推測してしまいますが、これってカッコイイと思いませんか?(笑)
新しいプレイスタイルの確立・・。「他のゲーキチ(ゲームキチガイ)」とは違うぞ!という感じがします。
人間は何かしら他との優越感に浸り、自分をアピールしていくものなんです(ブランド品を集めたがるのはその傾向)。
さすがマイナーながら味のある電子ゲームの出し続ける玩具の老舗メーカー「増田屋コーポレーション」です。
単純に苦肉の策っぽい気がしますが、着眼点が他のメーカーとは違います(え?!解釈が好意的だって?!^^;)。
しかし、いくら着眼点が良くても、本業のゲームが悪くては元も子もありません。
果たして「ホットライダー」はどのような内容なのでしょうか?
タイトルは「ホットライダー」
「マッハライダー」と名前が似ているけど全然違う!(笑)
でも、ドライブゲーム
に見えない・・。どういうワケ?!
さすが、増田屋・・。着眼点が違いますねぇ!
人間大砲で失敗したスタントマンを助けろ!
まずは落ちてくるスタントマンをマットでキャッチして・・。
華麗な自動車飛び越え!着地をフォローしろ!
(画面上段)自動車越えをフォローしよう!
 「ホットライダー」はちょっと変わったハチャメチャスタント・ショーです(ドライブゲームでは無いのがミソ)。
ゲームが始まると、スタントマンは右上の「人間大砲」から飛ぶ事に失敗して落下してきます。
スタントヘルパーを一番右に移動して、マットで受け止めましょう。
次にスタントマンは自動車に乗ってジャンプ台から積み重ねてある自動車を飛び越そうとします。
スタントヘルパーを左に移動して、着地台を準備してあげます。スタントマンが上手く着地出来ると
自動車は走り去ってひと段落、次のスタントマンがやって来ます。
人間大砲で失敗したスタントマンはマットで受け止めた後にオートバイで炎の輪をくぐろうとする場合
があります。(どちらにいくかは全くのランダムです)
しかし、オートバイには馬力が無いので途中で落ちてしまいます。(涙)
さらに落下地点には炎が・・!!(お約束^^;)
そこでスタントヘルパーの登場です。素早く鉄骨を準備してあげます。落下するまでに準備すると、
何事も無かったかのようにオートバイは走り去り、スタント成功!
華やかなスタントショーで脚光を浴びるスタントマンの演技の陰には、スタントヘルパーの努力が
隠されていたのですね〜。「縁の下の力持ち」とはまさにこの事・・勉強になります。
スタントヘルパーがスタントを助ける度に1点加算されます。
逆に助け損なうと、スタントマンは大ケガを負って、哀れ・・タンカで運ばれ1ミスとなります。
さて、画面左端でクレーンで吊されたスタントマン。何をやっているのでしょうか・・・?
やや!何とダイナマイトを身に付けています!コレは危ない!。果たして、燃え上がる炎から
脱出出来るでしょうか・・?結論を言うと脱出出来ません。(笑)
スタントヘルパーを移動させて、水を掛けて炎を消しましょう。炎を消すと10点加算されますが、
炎を消せなかった場合はダイナマイトで吹き飛ばされ、ミスに関係無くゲームオーバーになってしまうので
注意してください。
これはマジで
助けなきゃ
ヤバイっしょ!(^^;)
良い子のみなさんは絶対マネをしないように☆
 このゲーム、一人のスタントマンを最後まで面倒見るゲームシステムはG&Wで言うと
「マンホール」に非常に似ています。しかし、人間大砲からの落下・自動車でのジャンプ、
バイクでの炎の輪くぐりと、スタントヘルパーが介助を要する場面に達するまでのコマ数が
それぞれ違う為に、これらと画面左側の火消し作業が加わると、
状況を把握するのは困難です。
運で切り抜けているんじゃないかと思う場面も連続発生し、ヒヤヒヤドキドキ必至です。
コツとしては、スタントヘルパーがスタントを受け止めた時に音が鳴った段階で
移動しても良いのと(スタントマンが移動するまで待っている必要が無い)、
ほぼ同時期に複数の個所でスタントマンを受け止める場面が良くあるので
(特に人間大砲と何処か)どちらを先に介助するか見極める事です。
あと、忘れてはならないのが、画面左の燃え上がる炎は3コマ目まで来ないと
消せないという事です。これらを踏まえてプレイすれば高得点を望めるでしょう。
キャラクタも増田屋ならではの可愛さで設定も面白いと思います。
スタントの定番の「バイク火の輪くぐり」
も失敗・・(笑)。フォローせよ!
(画面下段)危なっかしいバイク火の輪くぐりも面倒見よう!
 実はこのゲームで最も重要な事があります。もう、既にお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
なんとゲーム内容が同社「パイプライン」「キッチン」「グラスランド」と同じなのです!!!
つまり「キャラ違い」、音階の無いゲーム音も同じです。さすがの私もコレには驚きました。(^^;;
電子ゲーム界では、任天堂を除く各メーカーで同じゲーム内容でキャラを変えて別商品として出すといった
事がよく行われていました。
その行為の代表格が「増田屋コーポレーション」「ヨネザワ玩具(現セガトイズ)」でした。
仲間内では「増田屋作戦」と呼んでいますが、業界大手の「バンダイ」「エポック」も行っていた事から
当時の電子ゲーム業界では制作費を抑えてラインナップを豊かにする手段として当たり前だったのかも
しれません。私はこれも電子ゲームブームが短い期間で幕を降ろした要因になっていると思うのですが、
いかがでしょうか・・。
宙づりになっているスタントマンが
吹き飛んだら、そこでジ・エンド!
スタントマンが吹っ飛んだら・・・そこで終わりだ・・。

本体解説:ゲームが壊れても、ラジオがあるさ!(その逆も可 ^^;)

 「ラジオを聴きながらゲーム」の斬新なアイデアも結局1アイデアで終わってしまいました・・。
やはりラジオの感度がイマイチ悪いからでしょうか。(^^; え?違うって?
ラジオはイヤホンをジャックに差しこむ事で電源が入ります。選局はダイヤル式で
ボリュームはLOW-HIGHの2段階調整出来ます。ラジオを聴きながらのプレイを考慮してか、
サウンドオフ機能も付いています。
本体デザインは後期のゲームにしてはいささか質素な印象を受けますが、特質すべき所は電源に
あります。このゲームではLR44×2個使用しますが、RADIO用・GAME用と1個ずつ別々に使用するのです!(^^;
よってRADIO用だけ入れなくてもゲームは出来ますし、その逆も出来ます。(笑)
つまり単に両者を付けた機構になっている感じですね(笑)
(これじゃ「ドッチーモ(携帯電話とPHSが使える携帯式の電話機)」と同じ・・・。)
このラジオPLAY&TIMEシリーズには他に「メカボーグ」があります(参考:「Valkyrie(RATH氏)」)。
ジャックにイヤホンを差し込むと
ラジオの電源が入ります。
ラジオが違和感無く仕込まれているのです・・。

備考:私にとっての「増田屋コーポレーション」

増田屋キャラは天下一品の可愛さがアル!
痛々しいミスグラフィック集・・増田屋はキャラデザインが上手いメーカーなのです。
スタントマンが多人数になると大パニック!
流用しまくっている
ゲームシステムだが面白いぞ!
優れたゲームシステムだから流用しまくった・・のかな?
 増田屋コーポレーションは当時、沢山の電子ゲームをリリースしていたのにも係らず、
非常にマイナーな存在でした。機種名「PLAY&TIME」やデザイン等を考慮すると、
ポスト任天堂を狙ったりしていたのかもしれませんが、ゲーム的に見てもデザイン的に見ても
任天堂には遠く及びませんでした(同じゲーム内容を流用している段階でアウト! ^^;)。
どうも任天堂製ゲームと比較すると貧素な感じがするのです。
しかし、キャラデザインは非常に素晴らしいと思うのもあれば、
「ジャングルアドベンチャー・ウッドマン」のゴリラの様にヘンテコリンなデザインしていたり、
「パイプライン」「アンダーコンストラクション(工事中)」の様に
何故か印象深いゲームもあったりして、本当に「味」のあるメーカーでした。
電子ゲーム以外では動物のヌイグルミとかちゃんとした玩具を出しているだけに
ますます不思議に思うメーカーだったりします。


参考文献:「ホットライダー取扱説明書(増田屋コーポレーション)」

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