CASIO PB-1000 FOREVER!

PB-1000C改造日誌(修理とメモリ増設改造)


PB-1000C改造日誌 「CASIO PB-1000C」に対する
修理及び、改造記録です。
多分、PB-1000でも利用可能です。
注意
改造したり、メーカーの指定機器以外の物を
接続して壊れても、
メーカーの修理は受けられなくなります。
改造は大切なポケコンを壊してしまう可能性があります。
(でも世界に自分だけの機能が追加できて、
それなりに便利になり、自分の勉強にもなるので
出来る範囲の改造はやめられません。)
自己責任で機能アップ改造を楽しみましょう。


1.はじめに

 今年は還暦。よせばいいのにジャンクのPB-1000Cを入手しました。
「取説無し、増設メモリー無し」でシートキーの一部が反応しないジャンクでした。
[LCKEY]、[MENU]、[カーソル]キーの上と左が反応しません。他は大丈夫みたいです。

とりあえず分解したら、まずはネジの多さにびっくりです。まだ初期の時代を感じます。
どこから外したネジかを記録しておいた方が堅実です。ほとんどのネジは外したのですが、
シートキー部分は簡単には分解できませんでした。

メモリー増設とRS232Cの増設は必須のようですが、「RP-32」や「FA-7」の入手は絶望的で
自作か内部増設するしかなさそうです。というわけで内部増設からトライです。
下の画像は分解したところと8KB内蔵RAMとシステムROMです。
少々分かりにくいですが、右の画像の緑のフレキケーブルの下がCPUのHD61700です。

分解写真


2.メモリー増設のトライ

2.1  いきなり40KB×2に挑戦。しかし・・

オリジナルのRAMは06000hから07FFFhまでの8KBで、増設は18000hから1FFFFhまでの32KBが可能なようです。
拡張スロットへの増設は あおさんの記事を見ていただく事として、
自分は内蔵RAMを剥がし、128KBのS-RAMに載せ代えて、
8KB+32KBの40KBの2種類をシステム情報ごとSWで切り替える事をトライしてみました。

しかし、最初、/CS5本をダイオードORで1つにまとめてみましたが、結果はダメで起動しませんでした。
以前、VX-4で128KBのRAMで64KB×2をSW切り替え改造をしたときは、
2本の/CSをダイオードORで大丈夫だった記憶がありますので、
PB-1000Cでダメな原因はダイオードの漏れ電流かと、
プルアップ抵抗を色々変えてみましたが、これも結局、駄目でした。

もしかすると、PB-1000は電源が単3電池×3本の計4.5Vと低めで、
ダイオードの残電圧が駄目なのかも知れません。しかし本当の理由は不明です。

2.2  HC11とHM62256を使って32KB増設

 ダイオードORによる改造はいったん諦め、
改めて基板を見ると、RAMとROMの間に丁度32KB SRAM(HM62256)が入りそうで、
足の位置も合っています。
これだとRAM(HM62256)を裏返せば、ほとんどの足はそのまま半田付け出来そうです。
CASIOの設計技術者はここにRAMやROMを増設できるように設計してくれたみたいです。(本当か?)

まず、元の8KBに戻して32KBのRAMをROMとの間に裏返しに取り付けます。
プラスチックカバーの桟が組み立て時に干渉するので、RAMやケーブルの通る所はニッパーで切りました。

ダイオードORが駄目だったので、引き出しを捜すとハーフピッチのHC11(3入力AND回路)がありました。
HC11は3入力ANDが3エレメントなので、これをカスケード接続して4入力ANDとして使いました。
これで、/CS3から/CS6までの4本のどれかでもLになると32KBのRAMの/CSがLになり、
増設RAMが選択されるはずです。

改造後、本体をリセットして、SYSTEM命令で確認すると、メモリーは40KBを認識しているようです。

SYSTEM実行結果は、以下の通りでした。
ANGLE 0 CLEAR1024,0,9215
FREE 27648 V:8191 $:1024

回路図と実際の配線の画像を載せておきます。

配線の状態

右端の黒い画像は見難いですが、増設SRAMとの干渉を避けるため、プラスチックケースの桟を切ったものです。

配線図

回路図(32KB増設)

(回路図と画像が逆向きになっています。すみません。)
回路図(32KB増設)

3.シートキーの修理

 メモリは無事40KBに増設できましたが、入手した状態では、取説も無く、
[LCKEY]や[MENU]キーが機能しないので、これ以上の確認が出来ません。
シリアルインターフェースも作るつもりですが、通信設定が出来ないと仕方がないので、
まずはシートキーを何とかするのが先でした。

分解方法も分からず、仕方なくLCD前面の銅シートを右側から剥がすと金属枠が外れました。
なるほど、金属枠とプラスチックフレームは右側の四角の大きな穴から銅シートで接着固定しています。
四角い穴での接着を剥がし、右のノッチを外せばプラスチックフレームが外れます。
シートキーの2箇所のダボを外して上片だけ接着されたシートキーを剥がします。

どうもLCD基板からシートキーに出ているフレキの左側の接着が剥がれていたようで、
押さえつけるとLCKEYやMENUキーが動作します。接触不良はキースキャンのKO5とKO6みたいです。

ちょうど良いスポンジのような押さえつける物が無かったので、灰皿のタバコの吸殻から
フィルターを挟みで切って金属枠と基板の間に立てて入れ、フレキを基板に押さえつけてみました。

結果は良好で、これによりシートキーが使え、やっとタッチキーの操作でファイルシステムが
使えるようになりました。

シートキー修理部

シートキー修理図

LCD側基板(シートキー部)構造図

LCD側基板(シートキー部)構造図


4.究極のメモリ増設改造?

4.1  ついでに48KB×2切り替え増設

 シートキーの修理が完了し、全ての機能が一応使えるようになったので、
ついでに(笑)、128KBのSRAM(HM628128相当品)だけで48KB×2改造もやってみました。

PB-1000には拡張RAM(4000h-5FFFh)のCS1がCPUの端子にありますが、システムでは使われず
マシン語などで使えるようです。

利用するRAMが一個(HM628128相当品×1)なので、/CSも一個にする必要があります。
そこで、もう一度両方のRAMを剥がして128KBのRAM(HM628128相当品)を取り付けます。

HC11で/CS1〜/CS6の6信号をカスケードORにして、どれかでもLになると
128KBのRAMが選択される/CSを作ります。
RAMのA16をメモリースロットまで引き出して小型のSWでH/Lに切り替えることで、
システム情報まで含めた48KBを2種類に切り替え出来ます。

リセットしてSYSTEMでメモリー容量40KBを確認し、テストプログラムを入れて電源を切り、
SWを切り替えてから電源を入れ、残りの片方もリセットし、容量確認後、
先ほどとは違うテストプログラムを入れます。
電源を切りSWを切り替えることで、どちらのテストプログラムも正常なことを確認します。
BASICプログラムの先頭に1 ' RAM1またはRAM2などと名前を入れておけば、
どちらのRAMになっているか分かります。

RAMのバンクは、SWで切り替えることが可能ですが、増設RAMスロットにSWを付けたので
ネジを外し蓋を開けて切り替える必要があります。

増設後、拡張RAMエリア(4000h-5FFFh)はPEEK、POKEでアクセス可能であることが確認できました。
SWで切り替えるとそれぞれで8KBづつ使えます。マシン語専用のRAMとして使えそうですが、
今どき8KBでは少ないですね。当時はそんなに多くのRAMを必要としなかったのかな。

でも、せっかくファイルシステムがあるのにエディット中のファイル容量分はメモリーが
残っていないとセーブできないはずで、複数セーブすると40KBでも不足しそうです。
64KB改造のVX-4は数本のBASICで残り10KBをきっています。

配線状態(40KB×2改造)

/CS2はCPUの足からではなく、内蔵RAM用パターンから配線しています。
#この画像は拡張RAM用の/CS1を使っていない画像のようなので40KB×2です。
#どうやら、40KB×2の画像は撮らなかったようです。(すみません)

配線状態

回路図(48KB×2改造)

回路図(48KB×2改造)

4.2  これでもかの60KB×2改造

 さらに/CSを追加して、60KB×2の増設にもトライしてみました。

PB-1000の内部RAMは、バンクに関係ないようになっているようで、HC139でアドレスデコードのテスト中に、
不用意にSRAMをバンク0に割り付けると起動しなかった記憶です。
また0-0FFFhまではCPU-ROMやシステムI/Oとなっていますので、
それ以降の1000hからCPUの拡張RAMの4000h前までの12KBを、新たに割り付けます。

手元にフラットパッケージのHC139が有ったので、A15とA14、A13でデコードしてY1(2000h-3FFFh)を作り、
残りのHC139の半分でY0とA12で1000h−1FFFhを作ります。

HC11の入力は一つしか余っていないので、HC139とHC11の間ならダイオードORでもいけるはずと、
ここはダイオードORでやってみました。無事に起動も出来て、割り付けたRAMも使えているようです。
どうやら7FFFhまではバンク0でもバンク1でも使える必要があるみたいです。

1000h-5FFFhまでPEEK、POKEが使えてRAMの確認が出来ます。
BASICで0と255のRAMチェックは20KBを25分掛かりました。ROMと同じバンクでROMコールにも便利で、
BASICワークエリア変化でも破壊されないマシン語専用RAMが20KB×2増えました。
4KBのマシン語プログラムなら5本x2が入れておけそうです。
実際にマシン語を走らせてみる必要があるのですが、
残念ながらPB-1000Cのプログラムは少ないですね。

ダイオードORは面倒なので、8入力ANDが良いのですが、規格表に見当たりません。
8入力NANDならHC30があります。128KBのRAMには/CSとCSがあるので/CSはGNDに接続し、
CSを使えばNANDのHC30でも大丈夫と思います。って、誰もやらないですね。

配線状態(60KB×2改造)

配線状態(60KB×2改造)

回路図(60KB×2改造)

回路図(60KB×2改造)


5.SHIFTキーの紛失

 分解したまま、しばらく机の上にほったらかしにしておいたら、なんと[SHIFT]キーの片方が見当たりません。
部屋中を掃除しながら探したのですが見つかりません。どうやら、ゴミと一緒に捨ててしまったようです。
片方のSHIFTキーは残っていますが、片手で入力する場合は不便です。
ショップに部品注文しようかとも思いましたが、製造中止からかなりたっていますので、
もう入手は無理かも知れません。と言うわけで、とりあえず採寸して樹脂を削って作ってみました。

キートップの「SHIFT」の赤文字はありませんが、充分機能します。

再生したシフトキー

再生したシフトキー


6.あとがき

 PB-1000は、かなり昔、友人に頼まれてPC-1350のBASICをPB-1000に移植をするため
1週間ほどいじったことがあります。

PB-1000は現在でもオークションでは高価で、入手はあきらめていました。
ところが先日、希望価格のジャンク扱いが安価だったので、つい落札してしまったのが運のつきでした。
PB-1000との違いも調べもせずに入手しました。PB-1000Cはアセンブラを持っていませんでした。
(あ、自分はまだアセンブラを知らないのでPB-1000Cでも同じですね)

(アセンブラの件は)パソコンで使える便利なクロスアセンブラHD61も有るので問題はありませんが、
昔のPJにはPB-1000のプログラムはありますが、PB-1000C用は少ないのがネックです。
とりあえずPJ掲載プログラムをOCRでファイルにしてみました。
16進オブジェクトファイルはアドレスとサムを除外すれば、それなりに認識するので
少しの修正でいけそうですが、アセンブラやBASIC等のソースファイルは修正が多すぎて、
最初から手で入力しても、変わらないので意味無さそうです。
オブジェクトファイルを整形して逆アセンブラに掛けてソースファイルを作り、
改めてPB-1000C用にアセンブルし直す必要がありそうです。

改造は、付いているRAMをパターンを痛めずに剥がす必要があります。
自分は何度も付け外しを繰り返してしまったのでパターンの接着剥がれでグラグラです。
今度やったらパターン切れになると思います。

今回の改造では、パターンから浮かせてケーブル配線をするICの足が幾つか有りますが、
配線で足にストレスが掛かるようで、足が根元から折れて苦労しました。(3本折れました)
折れるとはんだ付けが出来なくなりますので、仕方なくカッターナイフでRAMのボディを削って
何とか半田付け出来ました。

また、CPUの足からも信号を取りますがピッチが狭いので半田付けは難しいです。
半田で隣の足とくっついても慌てず、そんな時はハンダ吸い取り線(ソルダーウィック)で除去して
やり直しました。

適度に半田メッキしたジュンフロン線を、
CPUの足に重ねて隣と付かないように目的のジュンフロン線だけに
コテを当てて半田付けしました。S-RAMのタイプはHM628128タイプでないと、足の配列がパターンと
合いませんので入手時は注意して下さい。
同じ8ビット構成でも、558128タイプも有るようです。以前に自分は知らずに入手し、
後で気付いたものがあります。もちろん、全てワイヤー配線するつもりなら使えますが。

先日(2007の4月末ころ)、秋葉原に寄ったら秋月に5個\500の1MビットS-RAMがあり、
使えればもうけ物、とVX-4用に購入しました。ピン配置はHM628128と同じみたいです。
そういえばハーフピッチのピンとコネクターのセット\950だったかも入手しました。
1.27ピッチの2列ヘッダーピンとコネクターが10Pから50pくらいまで何種類かが2セットと
ハーフピッチのユニバーサル基板1枚が入っています。
残念ながら30Pは無いようでした。50Pなどを切断するか10Pと20Pを並べれば30Pで使えるかも知れません。

現在ならメモリーカードでファイルシステムが使えるようになったかも知れませんね。
容量は8MBでも50倍(現在ではそんな小容量のは入手不可能?)にもなるので十分で、
ファイル形式にもよりますがパソコンとの連携も簡単そうです。
メモリースロットに装着するカードアダプターが有って、昔のDOSのようにデバイスドライバーで
メモリーカードがドライブみたいに便利に使えたらうれしい。

PC-E500ではスマートメディアで作った方がいらっしゃるようです。
PB-1000でも使えるとうれしいです。PB-1000の増設RAMスロットはVX-4に比べて大きいので
ここにつけるか、それとも30Pコネクターからカード用インターフェースが作れると
多くの機種で使えるので良いですね。

次は、シリアルI/Fを何とかしないとプログラムの転送ができませんが、
PB-1000はシリアル通信のUARTが拡張機器で外付けらしく内蔵されていませんでした。

FA-7はレベルコンバータかと勝手な思い込みで、よく調べもせずに改造に足を突っ込んだようです。
まいった。せっかく改造したのに、ライブラリのプログラムの手打ちは出来そうにありません。
(本件、ジャンクのMD-100を頂けることになり、解決しました。ありがとうございます。)

2007-04-30 @山爺


記事は、山爺氏、あお氏よりご寄稿して頂きました。ご協力誠にありがとうございました。

戻る