オイルパニック(OIL PANIC)任天堂/ゲーム&ウォッチ・マルチスクリーンシリーズ/1982年頃
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| 電子ゲームは1982年を過ぎたあたりから様々な趣向を凝らしたゲームが登場する様になりました。 ものめずらしさから選ぶ時代になったと言うのでしょうか。 「出せば売れる」といった時代ではなくなったのもこの時期からです。 当然の如く、任天堂の「ゲーム&ウォッチ(以下G&W)」でもそうした状況を踏まえて、進化していきました。 初期モデルから画面がワイドになり、遂にこのゲームで2画面式になったのです。 しかし、2画面式になったからと言って、単純に「画面の広さが2倍=面白さが2倍」として考えてはいけません。 (縦長画面でなく)2画面式の特性を活かしたゲームデザインをしなければならないのです。 そういった意味で今回の「オイルパニック」はどうでしょうか。 舞台はごく普通のガソリンスタンド(以下GS)・・。平穏な日々・・・と思ったのも束の間、 どうもオイル(orガソリン?)の出が悪いのが気になります。 調べてみると、GSの3階を通っているパイプからオイルが漏れているじゃありませんか!! これは緊急事態です! しかも、何故かパイプの下には火のガスコンロがあります・・!(^^;;; オイルが火に引火したら火事(ガソリンだったら大爆発!)・・大惨事になりかねません。 そこでスタンドマンがガソリンを漏らさずバケツに受け止める事にしました。 (オイルの供給を止める事が出来なかったのは、利用客がいるのと、 営業を停止してしまうと売上に響いてしまうからでしょう。設定がメチャクチャとはとても言えません・・・ 。^^;;) 上画面(3階)の天井にあるパイプからオイルが漏れています。 スタンドマンを左右に動かしてオイルを受け止めてください。無事に受け止めると1点加算されます。 これだけだったら、簡単なのですが、バケツはオイルを3回受け止めただけで すぐに一杯になってしまうのです。 (^^; (バケツが一杯の状態ではオイルを受け止める事は出来ません) オイルを受け損うと、下にあるガスコンロの火がオイルに引火してミスとなります(上画面でのミス)。 |
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高得点への道はなるべくバケツを満杯にして移し替える事ですが 無理はせずに危なくなりそうだったら、すぐに移し替えるようにしましょう。 どのタイミングで移し替えるかの「駆け引き」がこのゲームの一番の醍醐味なのです。 また、画面の見方ですが、ドラムカンにオイルを移し替える度に視点を移動しないで、 下画面を視野に入るように上画面を見る方法が良いと思います。 プレイして再認識するのが、上下それぞれの画面に気を配らなければいけないという ゲームアイデアの秀逸さ・・です。 ゲームAの序盤でそんなにオイルが激しく漏れて来ないのに関わらず、 緊張感の連続。オイルの落ちてくる間隔が短くなると、ホント、心臓に悪いです。(^^;; 2画面式を効果的に使った代表例とも言えるでしょう。 ミスを上・下画面別々にカウントしているのも特質すべきところです。 また、キャラクタ面から見てみますと、2画面式だからでしょうか、とても大きく描かれて表情豊かです。 今後、G&Wを含む電子ゲームは内容が複雑化し、キャラクタが小さくなっていきます。 奥深いゲーム内容を求めつつもキャラクタが小さくなっていくのに違和感を覚えてしまいます・・・。 私ってなんて欲深いんでしょうか・・・・・。 「フラッグマン」の愛くるしい大きなキャラが懐かしく思えてしまうのもこの時期です。 最後に素晴らしい内容のこのゲームですが、当時の私は強い印象を受けませんでした。 あまりプレイしなかったせいもありますが、従来使い慣れている「受け止め」要素を基本とした ゲームシステムだからでしょうか。 もしかしたら「ドンキーコング」や「モンスターパニック」のような自由度のある能動的なゲームが 求められた時代だったのかもしれません。 しかし、このゲームは初のマルチスクリーンや2ミスカウント制など、 ハード・ソフト面ともにG&Wの中では異例の分類に入ると思います。 G&Wを語るには、欠かす事の出来ない作品である事は間違い無いでしょう。 |
「ゲーム&ウォッチ・マルチスクリーン」の詳しい解説は「ドンキーコング」をご覧ください。 このシリーズ、2画面の為にに折りたたみ式になっていますが、 開いたときに平らになりません。不良品?とんでもありません。 上下画面が見やすいように12度角度を取ってあるのです。 (本体裏の出っ張り→右写真参考) こんな所からも任天堂の「G&W」に対してこだわりが感じられるのでした。 ただ、マルチスクリーンシリーズは閉じた時に本体をロックするプラスチックの 止め具部分が壊れやすいのか、私のを含め、友人の持っているマルチスクリーンの 多くが既に破損していたのでした。(涙) |