ヘルメット(HELMET)任天堂/ゲーム&ウォッチ・ゴールドシリーズ/1981年頃
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電子ゲームの「魅力」とは何でしょうか。 ハード面では「パターンが重ねる事が出来る動きがコマ送り」や「専用筐体」、 「携帯性」など色々あると思いますが、 ソフト面ではまず「見て誰でも分かるゲーム内容」が挙げられると思います。 電子ゲームも後期になると複雑化していきますが、 当時はTVゲームでも単純なゲームが多かった事や ハード上の制約等も理由で、それ程複雑なゲームは存在しませんでした。 また、初期のゲーム内容に至っては「受け止め」、 又は「避け」だけの単一事象を扱ったものばかりでした。 2〜3箇所を移動し、受け止める内容のものは受け止め続け、避けるものもまた然りでした。 現在のゲームと比較すると、この驚くほど単純な繰り返し作業ではゲームの面白さなど 感じられないと思われるかもしれません。 |
しかし、当時は「コンピュータゲーム」という「モノ珍しさ」もあって 、殆どの子供は何のためらいもなくこの単純なゲームの虜になってゆきました。 けれど考えてみてください、当時の子供たちを虜にしたのは「モノ珍しさ」だけが理由だったのでしょうか。 今回紹介する「ヘルメット」は電子ゲームらしい「避けゲーム」の代表的なゲームです。 さて、このゲームにはどのような魅力があったのでしょうか。 ゲーム内容についてですが、おそらく電池を入れた瞬間に何をすべきなのかスグに 分かるでしょう(笑)。このゲームがいかに単純かを物語っています。 このゲームの舞台設定ですが「建築中のビルから工具が落ちてきます。 その工具をかわしながら現場事務所へ走りこんでください」(苦笑)… …って、いったいどこにあるんだ、そんなビルは(笑)。 建築中のビルの現場事務所なのか、誰の仕業か全く分かりませんが、 この異常事態の中で作業員はとにかく事務所のドアに駆け込まなくてはいけないのです。(笑) そしてこのような作業員は画面上では見えませんが、 LSIチップ上に実は何人いや何億人もいますので、とりあえず999人だけでも 無事にドアに駆け込めるよう頑張りましょう(笑)。 |
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とにかくこのゲームでは作業員を[LEFT][RIGHT]ボタンを使って、 降ってくる工具を避けます。事務所のドアに駆け込むのが目的ですが 悲しいかな、何故かこのドアは常に自動開閉しているために、 ドアが開いている時にしか駆け込めません。(涙) ドアはゲームAでは「10秒」、ゲームBでは「5秒」間隔で開閉を繰り返しています。 ドアが開くまでひたすら工具を避け続けてください。 (ちなみにこのドア、時刻合わせ以外のいかなる時でも開閉を繰り返しており、 「謎のドア」と呼ばれています) 実際プレイしてみると分かりますが、 休むことなく落ち続ける工具を避けるのは容易な事ではありません。 ゲームAでは開閉間隔が10秒と長いために、 持ちこたえられずにミスになってしまうケースが多いのです。 ゲームBでは開閉間隔が短いので「ここぞ!」という事態に、丁度良くドアが開いてくれます。 「ゲーム&ウォッチ(以下G&W)」においては、ゲームBの方が難易度が上級者向けに 位置付けられていますが、このゲームでは『ゲームBの方が「易しい」』という 逆転現象が発生しているのです。 (これはゲームBのドア開閉間隔「5秒」という時間が、 ゲーム自体のリズムに合っているからでしょうか…?) 従って、まずゲームBからプレイする事をオススメします。 (ゲームBの方が易しいというのは実は個人的主観ですので、 逆に難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんのであしからず ^^;) |
得点は事務所のドアに駆け込むと5点、 工具が3つ地面に落ちる毎に1点加算されます。 工具の落下速度はスコアに従って加速されますが、 100点区切り毎に一時的に遅くなります(G&Wの「お決まり」です)。 このように加減速を繰り返していきながら、徐々に最高速に向かっていくのです。 この加速具合いが心地よいプレイ感を与えてくれるばかりか、 いつしかテコテコ音しか聞こえなくなる程に集中させてしまうのです。 これぞ電子ゲームの「醍醐味」なのです! 最高得点(999点)をマークするには、 まず「むやみにドアの手前に留まろうとしない」事です。 ヤバイと思ったら即引き返す事も重要です。常に安全な場所を探すようにしましょう。 |
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次に「ドアの開閉間隔をカウントして開閉のタイミングを把握する」事です。 ゲームAの開閉間隔の10秒は長すぎます。ドアの前で待っていても 開いてくれません。常にカウントしておけば、開いてない時は工具を避ける事に集中できます。 また「連なって落ちてくる工具の回避方法をマスターする」事も重要です。 ヘルメットではドア寄りの2〜3つの工具が連なって落ちてくる事が多く、 ヤラレパターンの原因でもあります。 従って、隣の工具が消えたと同時に移動するテクニックをマスターするのです。 タイミングはかなりシビアですが、成功した時はかなりドキドキします。 |
作業員は、落下してくる工具に当たるとミスとなります。 ミスになると「作業員が気絶しているミスマーク」が表示され、 3回ミスでゲームオーバーとなります。 本記事の初期掲載時「人が舌を出している」と書きましたが全然違ったようです。(ヲィ 確か「いとこ」から教えてもらった記憶があるのですが、 20年以上も誤った認識で過ごしていたようで全くお恥かしい限りです。(苦笑) スコアが 200点と500点になった時にミスをあると、ファンファーレが鳴って ミスが帳消しになります。ファンファーレが鳴っている間は 工具は停止していますが、作業員は動かす事ができます。 この間ドアに駆け込む事は可能ですが、 得点は入らないので無駄な事はせず、安全な場所に移動する程度にしましょう。 (ミスの「帳消し制度」はゴールドシリーズから装備されました) |
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愛くるしいキャラクタと間一髪のタイミングで避けるスリル、 プレイヤーを引きこむ高速なテンポなど電子ゲームの楽しさを味わう事が 出来るこのゲーム、是非プレイしてください。 …と書きつつ、筆者は「ヘルメット」に熱中していますが、800点前後がやっとで 最高得点取れません(涙)。腕が落ちたかな〜? (なんてオチだ ^^;) |
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「ボール」「フラッグマン」「バーミン」「ファイア」「ジャッジ」の シルバーシリーズの次の機種です。 「ゲーム&ウォッチ・ゴールド」の名の通り、前の銀板の部分が金色になりました。 このシリーズでは、時計機能にアラーム・午前午後(AM/PM)表示が追加され、 背面にスタンドが装備されるなど時計機能が強化されました。
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「ゲーム&ウォッチ・ゴールド」は、「マンホール」「ヘルメット」「ライオン」の3機種が発売されました。
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このゲームは、G&Wの中でもかなり印象深い作品だと思います。 それと言うのも、「必殺!ゴースト人間」というウラ技があるからでしょう。 電子ゲーム初の裏技である、この技は以下のように操作します。 @時刻表示の時に作業員が工具の下に来た時に[TIME]キーを押したままにして作業員を止めて、 倒れたら[ TIME]キーを離す。 Aそして作業員が消えた瞬間に[TIME]キーと[GAME A(又はB)]キーを同時に押す。 Bゲームモードになって作業員が現れたら RIGHTボタンを押して1コマ先に進めて、 [TIME]キーと[GAME]キーを離すと2人の作業員が出現するというものです。 とはいえ、昔親戚から貸してもらったものではどうしても出来ませんでした。 電池を素早く抜き差しして、「無敵状態」になったりした事はありましたが…。 それもそのはず、この「ヘルメット」には2種類のバージョン、 「必殺,!ゴースト人間」が「出来るバージョン」と「出来ないバージョン」が 存在するのです! |
ではその違いをどうやって確認するのか…。それは本体裏ブタを外すのです。 (この際、スピーカーの配線を断線しないよう注意を払います) そうすると「LSIチップ」の「型番」を確認できるのですが、 ゴースト人間が出来るバージョンは「CN-07」となっていますが、 出来ないバージョンは「CN-17」になっているのです! (その他のパーツは「CN-07」になっている) 私がそれこそ何度もチャレンジして出来なかったのは単にタイミングだけではないようです。 そうすると、「CN-07」型は「初期型」、「CN-17」型は「後期型」と 位置付ける事ができます。 当時の雑誌でこのウラ技が告知された際も、 「次期出荷版で修正される」との記述があったとの事なので、 この説は確定情報といっても過言ではないでしょう。 次期シリーズの「ワイドスクリーン」で「パラシュート」が型番「PR-21」で、 「21」から始まっており、ゴールドの「ライオン(LN-08)」の「08」から 数字が大幅に変わっています。「大幅なモデルチェンジのため」という説が 有力でしたが、それだけではだけではなく、ヘルメットで「CN-17」の型番が存在するため、 次期シリーズで整理するために「21」から始めたのではないかと考えれば納得できます。 という事は「ジャッジ」についても「緑」「紫」バージョンでの LSIの型番がどうなってるのか気になります…。 もしかしたら紫バージョンは「IP-15」等になってるのでしょうかねぇ。 |
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実はヘルメットにはもう1つウラ技があります。 ヘルメットにおいてスコアによって、落下速度に変化が生じますが、 その判定は「ドアに入った時」に行われているのです。 つまり、ドアに入らず工具を避け続けたらどうなるか…。 そうです。初期状態のままゲームを進める事が出来るのです! 工具を避け続けるのは容易ではありませんが、落下速度が変化しないのであれば、 それは不可能な事ではありません。 私は600点を超えても速度に変化がない事を確認しました。 |
ヘルメットには上記のウザ技の他にまだまだあります。 (1) 前述した通り、時刻表示の際、[TIME]キーを押したままにすると、作業員が止まる。 (2) [GAME A]または[GAME B]キーを押したままの状態で、作業員が操作出来る。 ドアに入ると得点音が鳴るが、点数は入らない。 (GAMEキーと[TIME]キーの同時押しの場合は、ドアに入ったままの状態になる) (3) ゲーム終了後、約5分間経過して時刻表示になる際に、 約1秒ほど時刻表示を含む全パターンが消灯します。 (「ライオン」では瞬時に切り替わる) (4) 時刻表示のデモンストレーションでは、作業員がドアの手前に来ると、 ドアが開くが、ドアの手前で工具に当たると、次に作業員が来るまで ドアは開きっぱなしになる。 などなど…時刻表示のデモの動きに注目すると何か新しい発見があるかもしれません。 |
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このゲームをプレイしてみたいという方、残念ながら17年前の作品なのでローカルなおもちゃ屋でも
まず見つけられないでしょう。秋葉原のプレミア・ショップでも、たまに見かけますが、とても気軽に買える値段ではありません(涙)。
そこで、安価で体験できるゲームボーイソフト「ゲームボーイ・ギャラリー2」をお勧めします。
これにはG&W(ゲーム&ウォッチ)の「パラシュート」「ヘルメット」「シェフ」「バーミン」「ドンキーコング」の5つのゲームが入っています。
アレンジモードもありますので、けっこう長く楽しめそうです。是非、一度G&W体験して下さい。
参考:「ゲーム&ウォッチ大作戦」 発行:花華留多 / 「ヘルメット」取り扱い説明書
Special Thanks!(ヘルメットバージョン画像提供・情報提供):T.鈴木氏/Gen氏)